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2025年9月

  • 坂東 玉三郎
  • 8月31日
  • 読了時間: 3分

更新日:9月30日

 

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 皆様いかがお過ごしいらっしゃいますか。今月のコメントは、皆様へお詫びを申し上げなければなりません。さる8月11日「火の鳥」開幕直前に上演が出来なくなり公演中止となりましたことを、心より深く深くお詫び申し上げます。実はその日、自宅を出ますときに、突然くるぶしに痛みが走りまして、痛み止めを飲み歌舞伎座に入って何とか支度を済ませ開演を待ち、皆様の前に登場したいと思っておりましたが、やはり痛みが引かず、歩行が困難となり、やむなく休演となってしまいました。明くる日は幸いにも休演日でしたので充分治療をさせてもらいまして、13日から公演を再開出来たというわけでございます。劇場と自宅の往復だけの毎日で体調管理に気を付けて精一杯努めてまいりました。にも関わらず、皆様にご心配、ご迷惑をおかけしましたこと、本当に申し訳ございませんでした。チケットの払い戻しなどは会社が対応してはおりますが、何よりも私が皆様に申し訳ないと思いましたのは、お時間を割き、遠方からご来場下さった方も沢山いらっしゃいますでしょうし、往復の事や、お宿の予約をなされた方もおありかと存じますのに、開演直前になって「火の鳥」だけ上演できませんでしたこと、お詫びだけでは済まない、払い戻しだけでは済まないという思いです。そのような皆様のことを考え、本当に心を痛めております。13日から復帰しましても、千秋楽まで無事に務められるかどうかということを毎朝心配しておりました。終演いたしますとホッとして、なんとなく心も落ち着くのですが、明くる日の開演直前までは、何かに付けても不安な毎日で、自分の体を考えまして今後どのように対処していこうかといろいろ考えておりました。このようなことをコメントで申し上げるのは皆様に失礼だとは思いましたが、この話に触れないことはよくないと思いまして、こちらで述べさせて頂き、深くお詫び申し上げる次第でございます。

 また波乃久里子さんも体調不良で7月、8月の「華岡青洲の妻」を休演なさいましたので、お互いに電話やメールで励ましあっておりました。私は久里子さんのお父様の十七世勘三郎さんに大変お世話になりましたし、久里子さんとも新派では十数年ご一緒させていただき大変親しい間柄ですので、お互いの心配をする日が続きました。休演が長引き心配ですが、ただただ回復を祈るばかりでございます。私たちの年齢になりますと将来のことが不安になりますが、ご来場下さるお客様に向かって精一杯努力させて頂きます。

 私は、今年の12月まで歌舞伎座もございませんし、来年の初めも歌舞伎座での大役は予定しておりませんので、出来る限り自分の身体を元に戻すように心がけていきたいと思っております。

 そして、公演中止もございましたが、「火の鳥」に大勢のお客様の御来場を頂きまして、本当に感謝申し上げる次第でございます。今月はお詫びだけのコメントとなってしまいました。

 9月の末までは、まだまだ暑さが続くと思いますが、十五夜、十三夜が眺められる日を待ち遠しく思っております。

 皆様もどうぞお身体お大事になさってくださいませ。

 
 
 

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