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2025年 1月


 皆様、明けましておめでとうございます。

 本年も様々な劇場にご来場くださいますよう、ご贔屓お引き立ての程お願い申し上げます。去年は災害に遭いました元日となりましたが、今年は少しでも良い年になりますことを願うばかりでございます。

 12月は十数年振りに「天守物語」の「富姫」を歌舞伎座で演じさせていただきました。「天守物語」という作品は、私には大変に思い出深い作品なのでございます。日生劇場で初めて幕を開けさせていただきましたのは「班女」と、この「天守物語」で、もう47年前になります。前回上演いたしました時には、今後上演することはないと思っておりましたのですが、市川團子さんに巡り合って、この度「天守物語」を上演する運びとなったのです。10月は染五郎さんとご一緒で、こうして私よりも二世代の下の方々とお芝居ができるということは、思いもよらなかったことですし、歌舞伎俳優としまして本当に幸せに思うのでございます。

 また今回、嬉しいことがございました。それは、「天守物語」の照明を客席から作っております時に、七之助さんが、『僕が代わりに舞台に立ちましょうか?』とおっしゃって下さって、富姫の位置にお立ち頂き、私達の照明創りの手伝いをしてくださったのです。自分が年齢を重ねますのも、なかなか苦しい思いが致しますが、こうして後輩が協力してくれることに、舞台稽古での幸せを感じたのです。

 また、團子さんも、「富姫」の目が見えなくなったお芝居の時に、一生懸命私を支えてくださって、今日まで無事に舞台を務めることが出来ました。当然、10月は染五郎さんも私に気遣いをしてくださって、こうして本年を迎えたわけでございます。

 この1月は大阪松竹座で5年目となります「初春特別公演」でございます。そして11日からは仁左衛門さんとご一緒に「お染七役」の「たばこ屋」と「ゆすりの場」、そして「神田祭」を上演させていただきます。俳優と致しまして、初春から舞台に立てるということは大変幸せでございます。また、「長崎十二景」も37年振りの上演ということになります。これまで、東京のサンシャイン劇場、演舞場、南座などで上演致しましたが、このお正月に皆様に何か新しいものをお見せ出来たらと思いまして、製作の皆と一緒に考えて上演させていただく運びとなりました。その前の幕には、峰崎勾当さんの「残月」でございます。これはプログラムでも解説がございますが、地唄「雪」を作曲された方で、「残月」は追善曲でもありますが、何か清々とした気持になる曲ですので、今回のお正月に出させて頂きました。

 そして2月には歌舞伎座で「阿古屋」を上演ということになりました。

皆様に置かれましても、この一年が少しでも良い年になるようにとお祈り申し上げます。私もいただいたお仕事を一つずつ粛々と努めていきたいと思っているのでございます。

 それでは皆様、劇場でお待ち申し上げております。 


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