◇2021年11月


 皆様お元気にお過ごしでしょうか?お陰様で10月の御園座特別舞踊公演も大入りのうちに千秋楽を迎えさせていただきました。

 久し振りに約一ヵ月の長い名古屋公演でしたが、大勢のお客様にご来場いただきまして誠に嬉しく思いました。中村橋之助さん、福之助さん、歌之助さんとは8月とこの10月もご一緒でしたので、じっくりと「阿古屋」に向けてのお稽古が出来ました。「口上」では衣裳を観て頂きました。今年のお正月から松竹座、南座、御園座と三座続きましたので、新しいものをお見せすることが出来なくなるのではという心配もありましたが、なんとかこの10月までは新しいものをお見せすることが出来ました。これから先どうしてゆこうかと悩んでいる時でもありますが、とにかく無事に終わりましたし、再三申し上げますが久し振りの長い名古屋公演が大入りで大変に幸せでした。成駒屋さんのご兄弟も毎日毎日成長なさって私もその力を借りて「阿古屋」を演じられたのだと思います。最後の「石橋」は当代の花柳壽輔さんの振り付けで、若さ溢れる「石橋」を皆様に観て頂けて嬉しく思いました。

 10月に名古屋へ行きましてから30度を超える日もありましたが、半ばからは突然寒くなり、厚めの掛布団に取り換えたわけでございます。しかし緊急事態宣言中にもかかわらず大勢のお客様がご来場くださいましたし、緊急事態宣言解除されてからは、より多くのお客様にご来場いただきました。後半にはお若いお客様もご来場くださいましてプログラムを読まれたりしてお楽しみ頂けたようです。

 また劇場の近くの喫茶店では待ち合せをされたり、終演後にお話しをされたりと、良い意味で街中にお洒落をした人たちを見ることが出来まして、こういう仕事で少しでも皆様の為になれることを幸せに思っております。

 この10月は御園座公演に没頭して過ごしておりました。宿泊ホテルと楽屋の往復だけで殆ど外には出ませんでしたが、最初の休演日には名古屋の港の方に行きまして、密かに観覧車に乗ったのでございます。二回目の休演日にも観覧車に乗りたかったのですが、残念ながらお休みということで諦めてホテルで疲れをとって過ごしました。

 名古屋では夜の時間に色々なテレビ番組を見ておりました。東京とは少し時間がずれているかもしれませんが、やはり地球の環境問題が大変になってきたようです。「脱炭素」などと言いますがこの10年で早急に減らしていかなければ30年後は大変なことになると専門家の方がおっしゃられていましたし、これまで凍っていた氷が溶けだして、未知のウイルスが出てくるというお話しもされておりました。そしてそのお話しの中では『このコロナウイルスというのは予測出来ていた』と語る研究者さんもいらっしゃいましたし、新たなウイルスでパンデミックになることは十分に考えられるとお話しされていました。分別ごみや産業廃棄物、プラスチック問題なども注目されております。私達の若い頃は「使い捨ての世代」と言われていて私自身は非情に違和感が有りました。私達のお仕事は衣装や小道具など使い捨てをすることが出来ません。出来る限り大切に使うようにと考えております。いよいよ時代も「使い捨てが出来ない」ということになったわけでございます。そのようなことを考えながら人と人が直接会って、劇場ではお客様にお目にかかることが大切だと痛感したこの10月でした。そう言う意味で、私は劇場の空間でお客様と直接お目にかかるという時間を大切にして、丁寧に物作りをすることがこれからも大事な使命だと思います。歌舞伎座では12月にお目に掛かれますし、お正月には松竹座でお目に掛かれます。そして2月は久し振りの博多座でございます。お陰様で9月からずっとお芝居に出させていただきました。今も困難な中にいらっしゃる方を察すると胸の痛い思いもしますが、与えられたものは十分にやらなければならないということが私の心境でございます。

 今月の初めは少し時間がありますので、成功で終えることが出来ました九月歌舞伎座「四谷怪談」の四谷様のお寺やお岩稲荷などへお礼参りに行って参ります。

 そして7日には「Grand Maison ORENO」でコンサートを開催させていただきますし、21日から25日の熱海MOA美術館での舞踊会に向かって行きたいと思います。益々寒くなってきます。皆様お身体お大事にお過ごしくださいませ。

 それでは、また劇場でお目にかかりましょう