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◆2018年6月


皆様、素晴らしい5月をいかがお過ごしなされましたでしょうか。

 私は4月から始まった越路吹雪を歌う『愛の讃歌』コンサートに三人バージョンで地方公演を上演して参りましたが、座間での公演の時には雨が降っていたにも関わらず大勢のお客様にいらして頂きまして本当に有難く感謝致します。またカーテンコールではスタンディングオベーションを頂き大変嬉しく思っております。このコンサートが始まって一ヶ月が過ぎ、少しは慣れてきた気がしますが、やはりNHKホールや大阪フィスティバルホールのような大きい劇場ですと、音声その他の事で緊張する事がございます。これから秋まで続きますコンサートですが、精いっぱい務めて行きたいと思います。

 5月は来年封切られますシネマ歌舞伎の編集と、音楽調整などの作業をしておりましたが、19日と20日は京丹後での舞踊公演を行いました。一昨年、去年と、続けて参りまして、今年で三回目となります。今回、京丹後公演の意義が大きくあったなと思うことが一つあります。それは地唄の『雪』の舞を15年ほど前から踊らせて頂いたのですが、年数経ちますと衣装の絹が少しずつ黄ばんでまいりまして「どうしたらいいかなあ・・・」思っておりました。なかなか『雪』に合う良い素材が無いので困っておりましたが、去年京丹後の呉服屋さんにお話をしまして「それじゃあ、来年の地唄の『雪』には京丹後のちりめんを仕立て直して、京丹後のちりめんで踊ろう」ということになり今回実現したのでございます。何故にこんなに時間が掛かったかと申しますと、京丹後ちりめんを特別に織って頂いたこともそうなのですが、仕立てが普通の着物の仕立てとは違っておりまして、地物の仕立て、つまり女性の普段着の仕立てになっているのです。そのように致しませんと、いわゆる、地唄舞らしい着物の線が綺麗に出ないのです。普通の皆様がお召しになる着物と同じような仕立てでいながら、裾の「ふき」や袖口やあるいは襟などが衣装用に少しの綿を入れて作られているという事でございます。実際女性が着る地唄舞の衣装よりも、女方の着る衣装は少し大きい目に出来ておりまして、仕立てに二ヶ月以上掛かるのでございます。今年は京丹後公演が三回目を迎えましたが、これからどんな事が出来るのかと丹後市の方々と相談しているうち「全演目を京丹後のちりめんで踊れないか」という楽しい話にもなってまいりました。これからまた一年間をかけてゆっくりと考えて参りたいと思います。また、秋には八千代座での映像の公演もあり、それとはまた違った趣のものを京丹後で皆様にお見せ出来るようにと考えているのでございます。

 私は5月下旬からイタリアの方に少し勉強しに行っておりますが、ロンドンでも「何か小さい素敵な芝居があればな・・・」と期待しているのでございます。しばらく舞台はお休みになり、9月の歌舞伎座まで皆様とお目に掛かれない事になりますが、6月は福井県越前町でのコンサート、山形市でのトークショーなどでお目に掛かりたいと思います。素晴らしい5月の後ですが、6月の中旬からは梅雨に入ります。ヨーロッパから帰って来る頃には「東京は梅雨入りなのかな・・・」と考えながらイタリアへ行って参ります。皆様どうぞお身体を大事にお過ごし下さいませ。

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