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2025年10月

  • 坂東 玉三郎
  • 9月30日
  • 読了時間: 3分

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 皆様いかがお過ごしでしょうか。10月になりました。 9月も残暑が厳しく、半ば過ぎても中々涼しい日が来ないなと思っておりました。各地で集中豪雨や落雷もありました。しかし9月の半ばを過ぎますと夜は何となく涼風が吹く日もあり、ほっとする時もありましたし、虫の音も聞こえてきました。実は私は月食のニュースを知らなかったのですが、夜寝る前に偶然赤い月を見ることが出来ました。流石に夜中の3時までは見ることができませんでしたが、そうした宇宙を知ることができました。

 さて、9月は埼玉県和光市、東京都江戸川区、愛知県みよし市、兵庫県西宮市、青森県八戸市で「お話と素踊り」を開催させていただきました。そして9月初旬にはすぐに「火の鳥」の「シネマ歌舞伎」の為の編集に入ったのです。実際この「火の鳥」は、舞台では幻想的な雰囲気もありましたが、いざ映像収録になりますと、映像的なデーターとして切り取られてしまうこともあり、舞台の美しさが減少してしまうので、幻想的な雰囲気を残せるように後処理をするとこが大変難しく、細心の注意を払わなければならない作業でもありました。いずれ公開されると思いますので、皆様しばらくお待ちくださいませ。また9月には「源氏物語~六条の巻」が公開されましたので、皆様ご覧いただけると思います。

 9月16日からは「星列車で行こう」のお稽古に入りました。2年前に「星降る夜に出かけよう」。去年の南座と御園座で上演されました「星列車で行こう」。そして8月の「火の鳥」。よく考えてみますと「私は果てしなく広がる宇宙に関係する物語ばかり」だということに気がつきました。 過去に上演しました「雪之丞変化」でも、雪之丞が心のさとりを開くところでは、星空の中に消えていくような演出をさせて頂きました。 そういう意味で私は長いこと、宇宙、星、夕焼け、月、太陽、そういうものに憧れていたように思います。憧れるというだけでは意味は伝わりませんが、そこから人間が生まれたという思いもあり、そこに自分の憧れが入って来るのだ・・・というふうに思うのです。よく『歌舞伎俳優になっていなかったら、何になっていると思いますか?』とご質問を受けるのですが、私は『宇宙開発をしたかった』というお答えをしていましたが、現在になりますと宇宙開発は、国際的な情報の交換であったり、あるいは沢山の人工衛星を打ち上げてしまい、その人工衛星が宇宙のゴミとなるような状態も起きている・・・そんなことを考えますと、やっぱり、宇宙や永遠の空にだけ憧れを持って、劇場の中で皆様と、宇宙的な時空を想像しながら役者として生きて行くことが良かったのではないかなと思うのです。

 また、映画の「国宝」を多くの若い方々がご覧になって、歌舞伎座や、古典に興味を持って下さり「お話と素踊りの会」にも沢山にお客様に足を運んでいただきまして、本当に嬉しい思いが致しました。皆様が古典芸能に憧れを持って見に来てくださる。そしてそれに答えられるような質の良い舞台を届けられることを念頭において、それを継続できるように努力して行こうと思っています。

 この10月と11月は演舞場と松竹座の演出のお仕事で、11月はあまりご報告することがないかもしれませんが、季節のご挨拶などさせていただきたく思っております。

それでは皆様、演舞場と松竹座の「星列車で行こう」でお待ち申し上げております。秋の素晴らしさを味わいながらお過ごしくださいませ。

 
 
 

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