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◆2020年5月


 今は皆様も大変な時期を過ごされていると思います。

 私は舞台に立つ人間として、現時点では、思ったように身体が動かせなくなることを一番心配していました。先月にも申しました通り、思い立った時にすぐ身体が動かせるようにと、お稽古の音源や扇や、足袋などを身近に用意していました。

 また「白雪姫」や「雪之丞変化」の作家の方々と、以前から次の新作歌舞伎の相談をしておりまして、作家さんからは『この自粛期間だからこそ、ただひたすらに作品に向かうことが出来ます』と言って頂きました。まだ台本は出来ておりませんが、歌舞伎の舞台が再開できました時には、皆様にご披露できればと考えております。

 この4月は、自粛の時期を過ごしておりましたので、満開の桜を楽しむことが叶いませんでしたが、自宅の庭には牡丹が植えてありまして、4月5日に赤い牡丹が咲き始め、1週間ほど遅れて白い牡丹が咲きましたが、25日頃には咲き終わっていました。「鏡獅子」の唄の中に「ちょうど、二十日草・・・」という歌詞がありますが、実に牡丹の花は二十日間ほど咲いているんだなあ・・・と感じたのです。今年は特に気候が不順でもありまして、3月末に車で走っておりました時には、咲き始めた桜、まだ咲いてもいない桜、もう散ってしまった桜などバラバラな開花でした。

 また、これだけの人々が行動を自粛しておりまして、交通事故が半分に減ったというニュースも聞きました。更に世界の各地では、CO2が30%~40%ほど減った国もあるそうです。ヴェネツィアの運河も、とても綺麗になったという話も聞いております。人間が行動することによって、様々な影響が起こるんだということを、この時期だからこそ改めて強く感じられたのでした。都内も段々と車が少なくなり、空気が澄んでいたような気もいたします。また例年、4月の末から5月に入ります頃には気温が上がる日が続いていたような気がしますが、まだ暑い日が来ないということはそういうことも関係しているのではないかと思ったのです。このコロナウイルスはまだまだ落ち着くことはないと覚悟して、身体を動かしながら活動できる時期までを過ごしています。

 皆様におかれましても、自粛の時期ではありますが、将来への夢や希望のある思いで時を過ごせますようにとお祈り申し上げます。

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