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◇2017年10月


 皆様お元気でいらっしゃいますか。10月になりました。

9月は博多座と京都ロームシアターで「幽玄」の再演を行いました。鼓童との博多座は「アマテラス」以来の4年振りの公演となりました。あっという間に4年が過ぎてしまった気がしましたが、「アマテラス」とはまた違った様式の「幽玄」を専門家の先生方に指導していただきながら作ってまいりました。そして京都へは去年鼓童のプレミアムコンサートとして伺いましたが、南座は改修工事中ですので今回は京都ロームシアターで開催させていただきました。ロームシアターも大変立派な劇場で、この「幽玄」には丁度良かったのではないかという気がいたします。そして、博多も京都もお食事の大変美味しいところで楽しい毎日を過ごさせていただきました。

お陰様で初日から千秋楽まで大入りのお客様で迎えることが出来、大変嬉しく有りがたく思っております。

 今後は10月末に八千代座へ参りまして、「映像」と「舞踊」という催し物になりますが、あまり複雑なことをご期待いただくのではなく、踊らない部分を映像で見ていただき、単純にお楽しみいただければと思います。「口上」では舞踊に対する思いなども少し交えながら昼夜とも皆様にお楽しみいただければ幸いでございます。

 さて大変ご無沙汰をしました歌舞伎座の舞台でございますが本日初日を迎えます。私は夜の部に「沓手鳥孤城落月」と「秋の色種」に出演させていただきます。去年初演しました「秋の色種」は初めての歌舞伎座で上演いたしますし、「沓手鳥孤城落月」の「淀の方」は初役で務めさせていただきます。この「淀の方」は成駒屋さんのお家にとりましては大変大切な出し物でございますが、私がこの時期に「淀の方」をやらせていただくとは考えておりませんでした。実際は多少地味な作品でございますし、大阪城が落城するという一晩のお話でございます。実はこのお話は初夏のお話でございますがこの秋にやらせていただくこととなりました。大喜利の「秋の色種」では梅枝くんと児太郎さんに出ていただきまして、私が着替えている間にお琴を弾いていただくという趣向にし、皆様にお楽しみいただけますように作らせていただきました。

 また「沓手鳥孤城落月」は演出の石川さんとも相談いたしまして、坪内逍遥先生も西洋の演劇の影響を受けられた時期で台詞も沢山ございますが、戦に負け豊臣家が滅びていく「淀の方」と「秀頼」に焦点を当てての演出にさせていただきました。新歌舞伎としてできてまいりました作品ではございますけれども、今の時代になりましても風音などを省いて効果音のみで上演させていただくという新しい演出になりました。皆様にどのように受け止めていただけるのかと、多少の不安もございますが、初役の「沓手鳥孤城落月」、そして歌舞伎座で初めての「秋の色種」を若い方々とご一緒して、皆様にお楽しみいただけますよう精一杯務めますれば何卒ご寛容のご見物のほどお願い申し上げます。

 秋も深まり、あっという間に今年も3ケ月間になってまいりました。

 皆さまどうぞお体お大事にお過ごしくださいませ。それでは歌舞伎座でお目にかかりたいと思います。

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