top of page

◇2021年7月


 皆様お元気でいらっしゃいますか。東京は6月14に梅雨入りで平年よりも4日遅かったということです。西日本などは2,3週間も早いところもありましたが、あっという間に湿度の高い時期になりました。紫陽花も綺麗に咲き、梅雨空だな・・・と思いながら歌舞伎座に通っておりました。

 さて今月は4月の「桜姫東文章」「上の巻」に続き、6月は「桜姫東文章」「下の巻」を上演させていただくことが出来ました。お陰様でこのような時期にも関わらず連日大入満員のお客様で本当にありがたく思っております。ご来場くださいました皆様もいろいろな思いを抱えながら観てくださったものと思います。私はただご来場下さった皆様に少しでも現実をお忘れ頂けるようにと精一杯務めさせて頂きました。私が演じました「桜姫」も大変な大役ではございますが、片岡仁左衛門さんによる二役の早変わりは、二ヵ月に渡り千秋楽までよくぞご無事にお務めになられたと思うのでございます。25歳の時に初役で演じました「桜姫」も45年経ったわけでございますが、私にとってはあっという間でした。16歳の時に国立劇場で復活上演致しました「桜姫東文章」で「白菊丸」のお役で出させていただきましてからすでに半世紀以上経ちました。今こうして桜姫を上演出来ましたことは本当に幸せでした。重ねて皆様に御礼申し上げますと共に、舞台裏の制作の方々にもお力添え頂き、順調に舞台を務められましたことを有難く思っております。

 今月は7月後半から南座で地唄舞を5日間上演させて頂きます。更に8月2日から24日までは「鶴亀」と「日本振袖始」を上演させて頂きます。この度は「鶴亀」と「スサノオノミコト」を橋之助さんと、福之助さんのダブルキャストでの上演となります。歌之助さんには「鶴亀」の亀と、後シテに出てくださいまして、お兄さんたちも日替わりで後シテの分身に出て頂きます。

 また、河合雪之丞さんにも「稲田姫」を務めて頂きます。この新鮮な顔ぶれで南座を開けられますが、どのような舞台になりますか楽しみです。暑い最中の京都公演ではございますが、何卒皆様ご来場くださいますようお願い申し上げます。橋之助さん福之助さん歌之助さん、そして河合雪之丞さんと共に暑い夏を払拭出来ますように精一杯の舞台を務めたいと思っております。

 また今月は4月から延期となっておりましたブルーノートでのコンサートも開催されます。私は6月歌舞伎座の公演がない時にコロナワクチンの接種を終わらせまして、安心安全のブルーノートコンサートと、南座公演に向かって行くわけでございます。暫くしますと梅雨も明けます。この頃は猛暑が続く毎年ですが、皆様どうぞお体を大切にお過ごし下さいませ。それではブルーノートと南座でお待ち申し上げております。

 去年からコロナ過に対しての番組を沢山観て参りましたが、今年の春過ぎになりまして地球の環境問題の番組が時々再放送されているのを観ながら『やはりそうなんだな・・・』という思いが私の胸に迫ってきました。廃棄物使い捨ての時代に私は生まれてきました。それがいけないことだということをわかっていましたが、いよいよ今になって世界中が困難に立ち向かわなければならない時がやって来たのです。私たちが便利に使っておりました「プラスチック」それからいつまでもあると思っていた「水」も将来的に無くなって行くということです。人間が生きていきながら便利さを求め、大量生産の中でこうした困難が目の前に立ちふさがっているのだということを改めて感じます。私は図らずもこの十数年前からそういうことがよくないことなのではないかなと思い全ての物を大事に使ってきました。昔から使い捨てということに私はなんとなく違和感を覚えたものです。お弁当箱でも何でも使い捨ての箱がどんどん捨てられて行くのです。またファッション業界の中で私たちの衣服をどんどん捨てられて行きバランスが取れない世の中になってきたということもわかりました。特に私は海に潜ることをしておりましたので、海の魚たちの生態系が崩れていき、その魚たちを食べている人間の中に捨てたものが戻ってくるということがわかって来たのです。これからも私はそれに対して最大の努力をしながら暮らしていきたいと思いますし、こういうことを度々皆さんに申し上げて、皆様と一緒に少しでも夢を見られる未来を考えて行きたいと思います。昔、星新一さんのSF小説の中に、捨てたゴミが空から落ちてくるという内容がありました。全くその通りになってきたのです。これからも毎月細かいこともお話ししていこうと思いますが、大きくは今月のコメントで皆様にメッセージを伝えたいと思います。実際10年前、20年前に行きました南の素晴らしい海が汚れていると言うことで、その時同行したカメラマンたちからは『今はもうこういう素晴らしい海は無い・・・」という話を聞き、信じられない思いがしておりました。


追伸

今月の映像は御蔵島の映像でございます。この夏の間は海の映像をお送りしたいと思います。

bottom of page