◇2021年1月


 明けましておめでとうございます。本年もお願い申し上げます。

昨年は困難の多い年になりました。歌舞伎座は8月から再開となり、私は9月、10月、12月と出演させていただきました。9月、10月の歌舞伎座で「映像×舞踊」の公演を、そして12月には「日本振袖始」でしたが、この往復の道のりの困難な時に関わらず、数多くのお客さまがご来場くださいましたと感謝の思いでいっぱいでございました。特に11月の末から12月にかけては感染者が増え心配をしておりましたが、お客様がご来場くださいましたことに、何と御礼申したら良いか分かりません。そしてこの騒動の中ではありますが、お正月の2日から松竹座で初日を迎えられることとなりました。12月も公演中でお稽古もままならぬ中、自宅でお稽古を行いながら舞踊の振りを覚え、一回だけの打合せと、一回だけの舞台稽古で幕を開けさせていただくのでございます。しかしながら、ご来場くださいましたお客様に少しでもお正月の華やかな雰囲気を味わっていただきたいと思いまして、色々と考え「口上」では数枚の打掛をお見せするということを考えつきました。二幕目の「賤の小田巻」は久し振りの上演でございます。小さい時に日本舞踊のお稽古をしておりました時は度々踊っておりましたが、今回のように本公演で上演するとは思っておりませんでした。120年ほど前に杵屋勘五郎さんが作曲なさったものなのです。花柳流の先々代と、先代のお振りもございますが、当代の五世花柳壽輔さんが私の為に、昔からのお振りを改定して下さいました。そして三幕目には「傾城雪吉原」でございます。残念ながら9月にお亡くなりなりました花柳壽應先生のお振り付けでございます。近年色々な振り付けをしていただき大変お世話になりましたが、こうしてお振りが残っていくということは本当に素晴らしいことだと改めて感じているのでございます。

 この1月が無事に過ごせますとやっと春を迎えます。今年は何とかこの騒動が収束に向かい、無事に春夏秋冬を迎えられるますことを祈るばかりでございます。コメントではコロナ過のお話しをすることを躊躇しておりましたが、この大きな問題を避けることは出来ません。皆さまと共々に希望をもってこの先を生きてゆくことが大事だと思います。コロナに感染してお亡くなりになった方もありますが、この不況の辛苦でお亡くなりになられる方々の方が多いというニュースを聞きました。今後も様々な苦境に立たされることも有ると思います。私どものように芝居を上演できることだけでも幸せでございますが、先の見えない苦境に立たされている方々を忘れることは出来ません。私達に出来ますことは、幕が開きましたらお客様に少しでも辛い時を忘れて過ごしていただくことに専念したいと思っております。

それでは皆様、何卒お身体お大事にお暮しくださいませ。

平和な時が早く戻ってきますように祈っております。