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◆2018年8月


皆様、いかがお過ごしでいらっしゃいますか・・・と言うよりも本当に猛暑です。また水の被害もありました。御見舞申し上げます。年々、暑くなっているように感じます。観測史上、最も早い梅雨明けという事もあり、暑さが早くやって参りました。去年は暑さが早くやってくるのと同時に涼しくなるのが割と早かったという事もあったので、今年も期待している8月です。

 先日、愛知の刈谷へトークショーで行って参りましたが、駅に降りてその暑さに驚きました。昔、私が南座で花形歌舞伎がありました頃も、冷房の効いた部屋から出るとお風呂場に入ったような暑さという形容がありましたが、それを上回る暑さを感じました。近年は電車もよく冷房が効くようになりましたが、その分、外に出ますとアスファルトになっていてアーケードの屋根が付いていて、歩く前にエレベーターの扉が開いた途端に温度が大きく変わるのです。熱中症になるとか、具合が悪くなるのも無理ないなと思いました。

 7月はシネマ歌舞伎の編集、それからトークショーとコンサートのイベント、また、23日と24日には「三橋美智也さんの二十三回忌の追悼コンサート」ということで大阪の新歌舞伎座に初めて出させて頂きました。大阪の新歌舞伎座は、私は若い頃から出演しておりましたが、新装開場した新歌舞伎座は初めてでございます。三橋美智也さんとは生前、直接の御縁はありませんでしたが、私たちの年代は小さい頃から、三橋さんの歌に慣れ親しんできました。特に『達者でな』は本当に心に残る歌でございます。実はOSKにいらした私の先輩がおりまして、私が16歳、仁左衛門さんが22歳の時に御園座で「春夏秋冬」のお雛様の踊りの場面に出させて頂きました際、その後ろで踊っていらっしゃいました。その先輩からお聞きしたお話では、三橋美智也先生は私の舞台をご贔屓下さいまして、度々観に来て下さっていたという事でございました。その頃にお目に掛かかれなかったのが今になって残念ですが、私とは年代も違いますし、そのまま、すれ違ってしまったというわけでございます。実は十七回忌の時にも、松竹座で三橋さんの追悼公演がありました時に、私が『達者でな』が好きだという事で、テープだけのご挨拶をさせて頂いたのです。そしてこの度は出演ということになりました。私は三橋さんのような民謡の素晴らしい声の歌を歌う事はできませんので、ポルトガルの民謡を作詞しまして日本の歌にいたしました、『ノスタルジア』という亡くなった方を忍ぶ歌と、シャルルデュモンというフランスの作曲家の『人生は歌だけ』という歌を歌わせて頂き追悼とさせて頂きました。「人生は歌だけ」は三橋さんの人生そのものだと思います。三橋さんのドキュメンタリーなどで皆さんご覧になってお分かりになっていらっしゃると思いますが、北海道から出ていらして一生あの素敵な歌だけを歌って、それだけを悦びに、それだけを生き甲斐にしていらっしゃった方だと思うのです。この歌ならば三橋先生のファンの方にがっかりされない追悼になるのではないかと思うのです。また8月は浅草公会堂で出演者を少し変更しての追悼コンサートに出演させて頂きます。その後は、9月歌舞伎座秀山祭に向けて『幽玄』の舞台のお稽古に励みたいと思います。『幽玄』はお能を題材にした『羽衣』『石橋』『道成寺』を取り入れまして新しく創らせて頂きました。今回は歌舞伎座での大役でございますので『石橋』は若い方にお任せ致しまして、一幕の『羽衣』と二幕の『道成寺』のところを少し膨らませて幕切れになるようにということで、花柳壽輔さんの振付、そして鼓童さんの演奏で上演させて頂きます。皆様お時間ございましたら是非ご覧頂きますようお願い申し上げます。盛夏の折、お身体を大事にお過ごし下さいませ。

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