◆2022年6月


 皆様いかがお過ごしでいらっしゃいますか。6月歌舞伎座は狂言差し替えとなりまして「ふるあめりかに袖はぬらさじ」となりました。精一杯務めさせていただきます。今回久しぶりの「ふるあめりかに袖はぬらさじ」は、新派の方々と合同公演です。歌舞伎座では15年前に、十八代目中村勘三郎さんの岩亀楼の亭主でやらせていただいた以来となります。私が演じました「ふるあめに袖はぬらさじ」は今回で11回目になります。思わぬ回数になりますが、37歳の時から演じさせていただきました。自分に似合うかどうかわからないところもありましたが、今日まで演じさせていただきましたことを嬉しく思っています。この戯曲の素晴らしいところは、有吉佐和子先生の作品の、人間を見通す力や、世の中を見通す力が直に語られているのではなく、笑いと涙の中に間で鋭く切り込まれているというところが特別な舞台芸術だと思っています。『ふるあめりかに袖はぬらさじ』と言いながら、これまで歩んで来た今の日本・・・現在の日本でも、アメリカに袖をぬらさずにいるかどうか・・・とお考えになりながらご観劇いただきましたら皆様にもお楽しみ頂けると思うのです。男が海外で勉強して英語も使う、そして女は「亀遊」として特別に象徴的な女性ということにされておりますが、日本に取り残されてゆくのです。この若い恋人同士がすれ違って行くというのも、根本的な世の中の男女の関係とも言えるのではないかと思うのです。そこに、この「お園」と言う吉原から横浜まで流れてきた人生経験豊富で、口八丁手八丁で生きていきながら、この若い2人の恋人を見守り、しかもお客様を上手くこなし、時代を乗り切って生きつつ、真実を胸に秘めて生きているというところが有吉佐和子先生の人生そのものだったような気がするのです。有吉先生は、強がっていながらも、実は繊細で沢山の愛情を持った目で人々を見ていたというように私は思えてなりません。

 さて5月は宮崎音楽祭から始まりまして、久しぶりの京丹後舞踊公演、そして初めての御園座でのコンサートを開催させていただきました。八千代座30周年記念公演も無事に千秋楽を迎えました。八千代座での大きな公演はこれが最後となりました。また5月末には御園座での舞踊会となりまして、無事に5月を乗り切ることが出来ました。京丹後では大変寒い日が続きましたが、この京丹後公演も、今回で一区切りとなります。御園座さんでは近年度々舞踊会を開かせていただきまして楽しく過ごさせていただきましたし、山鹿では、おなじみの皆さんに制作をしていただき、夜は蛍を観ることも出来ました。山鹿での30年は、あっという間で過ぎてしまったような気もします。私が大変尊敬しております舞台照明家の故・相馬清恒先生と初めて八千代座の下見に来た時を考えますと、何か昔だったような気もするのです。これからは、年齢のこともあり体力に応じた催しもので各地にお伺いできればとは思っております。

 それでは皆様是非「ふるあめりかに袖はぬらさじ」にご来場くださいますようお願い申し上げます。

 今月末には梅雨に入ることと存じますが、皆様お体お大事にお過ごし下さいませ。