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◆2022年3月


 皆様いかがお過ごしでいらっしゃいますか。この2月は大変冷え込んだ日々が続きましたが、2月の末から3月の初めになって少し春めいたかなという気がします。それにしても北日本の方は、雪が沢山降ったこの冬でした。実のところ、この1月の大阪松竹座と2月の博多座の公演は本当に綱渡り状態でした。今となってはお話しをしても良いと思いますのでお話しをさせていただきます。1月、2月と東京や地方の色々な劇場も公演途中で中止や、延期ということが続いておりまして、1月松竹座の時にも大変厳しい状態になりました。去年のお正月公演の時も「緊急事態宣言」が7日に発令されまして、大阪松竹座の幕を開けたところでした。今年1月の大阪松竹座も無事に千秋楽を迎え東京に帰ってきまして、約1週間の余裕があってから博多座の初日を迎えたわけですが、松竹座で1名、博多座でも1名のコロナ感染者が出ておりました。楽屋はかなりのソーシャルディスタンスを組んだ仕組みになっておりまして、皆さんには感染しなかったので、公演はそのまま続けられたのです。濃厚接触者も無かったので無事に公演も済みましたが、とにかく私自身が感染して、興行自体、あるいは共演者や、劇場の皆様にご迷惑をかけないようにできるかどうかという事の保証がないために、毎日が、気が気でありませんでした。しかし2月19日に無事に博多座公演の千秋楽を迎えることができました。公演の最中にも『今月無事に千秋楽を迎えられたらほとんど奇跡だね』などと皆で話しながら過ごしておりましたが、皆様のお陰で無事に千秋楽を迎えることが出来ました。まして2月はこのような状況が続いたにもかかわらず、博多座には多くのお客様がおいで下さいまして、しかも地方からもお客様がいらっしゃって下さったということを考えますと、有り難さと共に、本当に胸が痛くなる思いでございました。この1月2月は舞台の「口上」でも、今日ご来場くださいましたお客様に対する有難さと共に、劇場へお招きしてしまわければならない私達の状況と言うものをお詫びしながら、そして、とにかく無事にご来場くださいまして、無事にご自宅までお帰りなされるまでを本当に祈る気持ちで毎日過ごしておりました。私は一座の皆さんよりも贅沢な宿泊所に泊まらせていただいたにもかかわらず、劇場とホテルの往復だけでやや閉塞感もありました。もちろん共演者の皆さんもホテルのお部屋でよくこの公演を見守ってくださったと感謝しております。

 2020年の春から流行りました新型コロナ感染症の事については、舞台では一切口にする事はなかったのですが、2021年のお正月と2022年のお正月の松竹座、2月の博多座では舞台でご挨拶をして、お客様に御礼を申し上げるしかありませんでした。私としては劇場にいらっしゃったお客様へは一切そういうことを口にしないと言う気持ちを心に誓っておりましたが、この1月と2月は、私の本心を述べさせていただいたと言うのがこの年頭の2ヶ月公演ございました。まだまだ状況が分かりませんでまた違った変異株の波がやってくるという事の中で、この劇場の舞台芸術の生活を送っていくわけでございますが、海外などではもう「コロナとは共存」ということで、皆さん自己責任となり、緊急事態宣言や蔓延防止などの規制は解除になった国もあるようです。つまり感染の度合いの高いインフルエンザ、あるいは危険性の高いインフルエンザと言う扱いなのでございましょう。そのような中でも私どもが無事にここまで来られましたこと、皆様に本当に有り難く思っております。

 3月はお休みいただきましてブルーノートのコンサートでございますが、やはり感染対策をしながらのコンサートになります。4月は歌舞伎座で「ぢいさんばあさん」と「お祭り」を踊らせていただきます。世界中の人類自体がこれから先「一寸先は闇」とまでは言いませんが、どうなるか分からない事を心に持ちながら生きていかなければなりません。先日も申し上げました通り環境問題も切迫しているようです。今年はこの、4月、5月、6月辺りに私のちょっとした思いなどを述べさせていただきたいと思っておりますが、今月は、1月、2月の劇場をどのような思いで過ごさせていただいたかということをご報告申し上げました。いくらか世の中が快方に向かっているという中で述べさせていただくご挨拶でございますが、既に感染もなさって軽症であったり治ったり免疫も付いている方もいらっしゃると思います。未来に望みを託すことの道が細くなってはいますが、この望みを途切らすことなく生きていければと思うばかりでございます。これから春を迎え、花粉も飛んで来ますがこの3月の末には桜が咲くのを待たれるこの日本でございます。皆様どうぞお健やかにお過ごし下さいませ。

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