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◆2020年4月


 長い自粛の時期を迎えることとなりました。いかがお過ごしでしょうか・・・と言うことさえ、切ない思いがいたします。

 この4月の初めには、どうしても、此処にコメントを書くことが出来ませんでした。今は世間のことを書くことも難しい時期ですし、桜のお話をすることも憚られます。私は、小さなコンサートや、各地の舞踊会が延期となりましたが、大きな舞台の予定が有りませんでしたので、何とか乗り越えようと考えているところです。今になって、やっとコメントが書けるようになりましたのは、つたないながらも、「文藝春秋」に私の連載が有りまして、その掲載誌が自宅に届いたのが始まりです。中を読みますと「コロナ戦争」という特集が組まれており、各分野の専門家の方々が、この地球、この時代、この国の状態に付いて、深く語られておりました。決して宣伝ではないのですが、是非皆様にも、この特集「コロナ戦争」を読んでいただきたいなと思ったのがきっかけで、コメントを書いております。そこには、実に見識の高い方々のご意見が載っておりまして、私が常に、今の時代に感じていたことが、先生方のお言葉で、そのまま伝わって来たのです。私が、ここでくどくどお話しするよりは、皆様に読んでいただき、今この時代を、もう一度考え直し、どうやって将来を生きていくか・・・を一緒に考えていきたいと思ったのです。コロナウイルスの問題を乗り越えるには、私たちが考えている以上に、時間がかかると思えるようになりました。この時期を無事に越え、将来を迎えることが出来るように願うばかりです。

 余談になりますが、この自粛で、長い時間、自宅に居ることは、最初、かなりの苦痛を伴いました。自宅が嫌だ、ということではなく、自分はこれまで舞台で身体を動かして生きてきた人間なので、身体を動かせないということが、どんなに苦しいことか・・・ということを改めて実感したのです。しかし、この自粛の時期が1ヵ月も経ちますと、何となくそれに慣れてきまして、仕事がないままに生きていけるのではないか・・・と思うような不思議な感覚もよぎりました。そして、自分もこれから、年齢とともに、このような時期を過ごしていかなければという思いも強くなってまいりました。

 演劇の世界も大変な打撃を受けましたが、様々な事業をなさっておられる方々も大変な思いをしておられると思います。

 私は自粛の期間中、自宅で出来る事を考えました。20年ほど前、NHKスペシャルで司馬遼太郎先生の「街道をゆく」という番組が放送されておりまして、1990年代にそのビデオ集が出版されました。私も15年ほど前にDVDボックスを購入して、その時に早速に、1巻を観たのですが、『これは腰を据えて、一気に全部観通してしまわなければならない』と思っていたのです。勿論本でも読ませていただきましたが、大変な長編ですので、この機会にDVDボックスを全て観ることが出来ました。改めて「日本の成り立ち」というものを考えたこの3月だったのです。

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