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◇2019年5月


 皆様いかがお過ごしでいらっしゃいましょうか。素晴らしい季節、5月がやってまいりました。4月の末には寒い日もありまして、びっくりしていましたが、これからは暖かい日がやって来るように思います。

 3月の南座公演も無事に終わりホッと致しました。この4月はお休みをいただきまして、ロンドンとマラケシュとイスタンブールに行ってまいりました。実はシルクロードの出発点のイスタンブールを一度観てみたいと思いから、今回の旅を計画したのですが、知人から『マラケシュは大変素晴らしいよ』というアドバイス頂きまして、マラケシュ行きも計画したわけです。また、せっかくヨーロッパに行くのでしたら、ロンドンに寄ってお芝居も観たいと思いまして、行きと帰りの数日間をロンドンに滞在しました。最初のロンドンでは4回目の「レ・ミゼラブル」を観ました。大変素晴らしい舞台でした。ロンドンの名誉にかけて「レ・ミゼラブル」の質を落とさない・・・という思いということで、30年以上続いているのです。さすがに磨きに磨きがかかって、演者も歌も素晴らしかったです。演出は「トレヴァー・ナン」の演出に戻っておりました。今回それがとても新鮮に見えましたし、廻り舞台を二重廻しにするのではなく、歌舞伎のように、一重の廻り舞台になっていまして、トレヴァー・ナンの演出が更に発揮されていたと感じました。現在、日本で上演されております「レ・ミゼラブル」はアメリカバージョンなのかもしれません。今回のロンドンでは8本のお芝居を見ましたが、その中の、ストレートプレイの「イヴの総て」が、とても新しい演出で、映像を使った大変新鮮な素晴らしいプロダクションでした。

 次にロンドンから、モロッコのマラケシュに入りました。イスラム教のお国ですが、これまで世界や、日本で報道されてきましたイスラム圏の諸々の事情とは全く異なった、他人に対する大変に温かい人達が、私達を迎えてくれました。今までの私達の思っている世界感とは全く違った印象で、優しい心を持っている人々ばかりでした。特にマラケシュは「バラの国」という意味もあるということです。本当はサハラ砂漠にも行きたかったのですが、マラケシュから砂漠の入口まで車で11時間、素敵なスポットまでは12時間と聞き、今回はあきらめまして、砂漠の雰囲気のある近場で写真と撮ろうということになりました。モロッコは、農業、牧畜、観光の国ということで、その人に対する心の優しさが、どこか日本と共通しているような気がしまして、直ぐに皆さんと親しくなれました。

 イスタンブールにはカサブランカ経由で入りました。イスタンブールのあるトルコもイスラム教のお国で、沢山のモスクがありまして、1日5回のお祈りをされて過ごしておられました。トルコは特に親日の国で、私たちにもとても優しく接してくれました。イスタンブールでは旧市街と新市街を繋ぐ大きな橋が架かっておりまして、その一つの橋を日本が作ったと聞きました。トルコも地震のある国ということで日本の技術を大変尊重してくれていました。

 素晴らしいホテルと料理。言葉では言い尽くせない、東と西とが混合された独特の雰囲気を持つイスタンブールを感じることができました。イスタンブールはロシア、アラビア、ヨーロッパから来た人たちが混ざり合って、街が形成されているということです。今回は改修中のモスクが多く、中に入れるモスクは限られていましたが、そのモザイク模様が流れ流れて海を渡り、今の日本の端正な美術や芸術に繋がってきたのだと理解した旅でした。世界中が色々と難しい問題を抱えておりますが、今までのイスラム圏という概念が、全くひっくり返った4月の旅だったように思います。

 帰りに寄ったロンドンでは、「屋根の上のバイオリン弾き」を観てまいりました。この作品は1963年の初演ですからもう50年以上も上演されている作品になりますが、私がロンドンで観るは、初めてでした。

 そのような4月を過ごしましたが、旅先でも東京に帰ってからもコンサートに向けて歌の練習はしておりました。

 5月には京丹後の舞踊公演もありますし、八千代座と日生劇場でのコンサートに向かって一生懸命勉強していきたいと思っています。

皆様どうぞ素晴らしい5月をお過ごしくださいませ。

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