皆様お元気でいらっしゃいますか。あっという間に3月になりました。まだまだ寒い日が続いております。 先月のコメントでも述べさせていただきましたが、私はこの2月は、佐渡と沖縄でお稽古をしてまいりました。去年の12月と1月末に沖縄の方々と打合せをしております時に、『2月の沖縄では半袖の方もいらっしゃいますよ』とお聞きしまして、自宅から羽田空港の間でしか冬物は着ないのかなと思っておりましたが、ことのほか2月の沖縄が寒くて驚きました。沖縄の劇場で演奏の録音の時など、稽古場が思いのほか寒く、地元の方もこんなにも寒い2月の沖縄に驚いておられました。沖縄での2月の稽古は、今年の5月22日~25日国立劇場おきなわ公演と、6月5日~11日京都南座公演のためのお稽古でした。今回の沖縄での稽古は、去年の3月に上演させていただきました「聞得大君誕生」に多少の手直しをいたしまして、公演の序幕として上演させていただきます。そして二幕は、組踊では有名な舞踊が沢山ございますが、その色々な作品を組み合わせて「蓬莱島」という一つの作品を作りました。島が豊かに花咲いているところに魔物がやってきて、全ての水を飲み干してしまい、花々が枯れてしまいます。そこに「女神」が現れまして水を与えると島が蘇るという構成で、沖縄の様々な古典舞踊が一幕で見られるという作品になっております。 また2月の佐渡の寒さは当然でしたし、佐渡は4月にならないと暖かくならない島ということを十分承知しておりますので、無事に鼓童のお稽古をしてまいりました。 そしてもう一つ報告させていただきますが、一昨年の12月に日生劇場で上演させていただきました「日本橋」が「グランドシネマ」として、3月21日から全国の映画館で上演となります。沖縄から帰りましてすぐに編集作業の仕上げを大船にありますスタジオで行っていました。その日は大変な大雪となりまして、車ではスタジオへの移動がとても大変でした。予報では、10年振りの大雪と聞いておりましたが、実際に降ってみますと35年ぶりの大雪となり、予報をはるかに上回ることとなりました。 2月下旬には三月歌舞伎座公演に向かって、外で歩きながら体を動かし、足腰を慣らしておりましたが、夜は帽子と手袋をしなければとても散歩ができないほどの東京の寒さが身に染みました。 私は、年末から年初めにかけて風邪を引いてしまい、1月公演では声が全く出なくなってしまったというお話を申し上げましたがまだ、2月になってもなかなか完治しておりませんでした。今でも耳鼻科に通いながら治療をしております。三月歌舞伎座公演では「二人藤娘」と「日本振袖始」に出させていただきますが、「藤娘」は全く台詞がなく、「日本振袖始」では後シテの「八岐大蛇」になってからの台詞しかありませんので、不幸中の幸いと思っております。 皆様に3月歌舞伎座でお会いできますことを楽しみにしております。また、是非グランドシネマの「日本橋」をご覧くださいますようお願い申し上げます。このグランドシネマ「日本橋」は2時間27分と長い作品となっております。前半は泉鏡花先生の作劇として紐解きがし難い所がありますが、後半になりますと解りやすい「日本橋」になったのではないかと思っております。 まだまだ寒い日が続いております。皆様お身体大事にお過ごしくださいませ。